【展示会レポート】名古屋・徳川美術館「とんがり美術―キワだつ個性―」

名古屋の徳川美術館にて、企画展「とんがり美術―キワだつ個性―」が開催されています。会期は2024年11月9日~2024年12月15日です。

美術鑑賞をしていると、強烈なインパクトを感じる個性的な作品に出会うことがあります。
絵画・書・工芸などさまざまな広い分野にわたり、こうした個性豊かな作品たちが「とんがり美術」として紹介されているのが本企画展です。

名品?迷品?個性的な作品の数々

本企画展では、現代の私たちから見て(そしておそらく、制作当時から見ても)思わず目を止めてしまう個性的な作品に多数出会うことができます。

物理的にとんがっているもの、アッと驚く素材でできているもの、作者の人柄が如実に表れているもの、発想に驚かされるものなどなど。「とんがり方」も実に様々で、なかには名品なのか迷品なのか分からないものも。傑作と問題作は時に紙一重です。

そんな本企画展の最大の魅力は、とんがっている理由が何となくわかる瞬間があることです。作品と向き合い、制作当初に思いを馳せる、そんな楽しみ方をすることができます。

黄金造神農像 17世紀
 尾張家初代の徳川義直が所用した「黄金造神農像」は、物理的にどんがっている小さな黄金像。古代中国で医学の神として信仰されました。
ツノはおふざけでもアクセサリーでもなく、非凡さの象徴だそうです。

真珠貝玉箱 16世紀 徳川家康・霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所要 
真珠貝玉箱は本物の真珠を141個も使った何とも豪華な意匠。銀製の葡萄の透かし彫りを、金製の鶴や真珠で彩り、楽園を表現しています。

鶏図 伝徳川家光(3代将軍)筆 17世紀 
紙の一部分にちんまりと描かれているのは、子どもの絵として似つかわしくない仏頂面の鶏。
この絵を描いた幼少期の家光は、病弱で引っ込み思案な性格だったと言われています。作者の人柄を如実に写し取ったが故のとんがった1枚。

まさに天才の名品 超絶技巧の数々

犀皮屈輪文盆 13世紀 

天才が生み出すとんがった作品は時に、その素晴らしさがゆえに、他を置いてきぼりにするとんがった作品になってしまうことも。造形が凝ったものから、国宝に匹敵するレベルの超絶技巧まで。天才たちの傑作を楽しむことができます。

曜変天目(油滴天目) 大名物 12‐13世紀 徳川義直(尾張家初代) 所蔵

曜変天目とは、中国の天目山で造られた天目茶碗のうち、最上級とされるものを指します。現存するものは世界に4つしかなく、すべて日本の団体が所蔵。国宝や重要文化財に指定されています。徳川美術館所蔵の曜変天目は、名前は同じものの、それらとは異なる茶碗だそうです。しかし惑星のような幾何学な模様は、まるで宇宙を想起させる美しさを秘めています。詳細な産地や作者は未詳で、歴史的ロマンを感じる逸品です。

徳美のくせがすごい

とんがっているのは展示品だけではありません!企画展を開催している徳川美術館さんも、様々なとんがった挑戦をされていることがよく伝わってきます。

とんがった作品解説はストレートで小気味よく、時には読みながら吹き出してしまうことも。

徳川家所蔵の品々を所蔵・展示していると聞くと、かなりお堅い雰囲気の美術館なのかと連想してしまいますが、思い切った企画展テーマ然り、解説の端々然り・・・一番「とんがって」いるのは学芸員さんなのかもしれません。

企画展情報

企画展名とんがり美術―キワだつ個性―
会場愛知県名古屋市東区徳川町1017
徳川美術館
会期2024.11.9 (土) ~ 2024.12.15 (日)
休館日毎週月曜日
入場料一般 1,400円・高大生 800円・小中生 500円
※20名様以上の団体は一般200円、その他100円割引
※毎週土曜日は小・中・高生入館無料
詳細は公式サイトをご覧くださいhttps://www.tokugawa-art-museum.jp/

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